連帯保証人トラブルを債務整理で切り抜けよう-連帯保証人はつらいよ

連帯保証人はつらいよ

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妻が勝手に私の実印を使って、私を連帯保証人にしていた。保証債務を支払わなければいけないか。

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勝手に、連帯保証人として名前を書かれたり、実印を押されてしまうというトラブルはよくあります。

こうした場合、どうすればいいのでしょう?借金を支払わなければならないのでしょうか?

このような相談がありました。

妻に勝手に連帯保証人にされた事例妻は自宅でネイルサロンを経営しています。ある日、銀行から私宛に400万円の請求書が届きびっくり。

中身を読むと、妻がネイルサロンを開業した際のリフォーム代金400万円を滞納しているという請求書でした。

私がその連帯保証人であるというのです。全く身に覚えがなく、銀行に問い合わせをしたところ、契約書に私のサインと実印が押してあるとのことでした。

妻がネイルサロンを開業する際に、自宅をリフォームしたことは知っていましたが、その時に、借金をしたなんて全く聞いていませんし、ましてや契約書にサインをした覚えもありません。

私は、連帯保証人として返済をしなければいけないのでしょうか?

この相談者さんは、身に覚えのない請求書にかなり驚き、妻と大げんかをしたそうです。

妻は「、勝手に相談者さんの実印を使い、筆跡をまねて署名した」と白状したとのことでした。

また、ネイルサロンも最初こそ順調にいっていたものの、徐々に業績が悪化し、このリフォーム費用のほかにもカードローンやクレジットのキャッシングなど800万円近い多重債務を抱えていたことを、相談者さんに秘密にしていたそうです。

相談者さんは、勝手に名前を使われたことで、怒りが収まらず、実家に帰っており、妻とは別居状態だそうです。

しかし、連帯保証人として書類がそろっている以上、妻と別居したり、離婚したりすれば連帯保証人ではなくなるわけではありませんから、借金はなくなりません。
そのため、相談にいらっしゃったのでした。

勝手に連帯保証人されるのは「無権代理」という違法行為

借金の保証人として契約を結ぶ時、入院中など、どうしても都合の悪い時は、他の人に代理人になってもらい、契約することが可能です。

しかし、代理人は誰でもなれるわけではありません。代理人となる権限がない人が勝手に契約をし、その契約が成立してしまうと大変です。誰でも勝手に保証人にされる可能性がでてきてしまうとなると、安心して生活することができません。

ですから、代理権のない人が勝手に行った代理行為は無効です。このような権限のない勝手な代理行為を「無権代理」と言います。
無権代理は、本人に対して効力を生じません(民法113条)。

ですから、ある日突然身に覚えのない保証の請求を受けたとしても、支払う必要はありません。

むしろ絶対に支払ってはいけません。

なぜなら、請求に応じて1円でも支払ってしまうと、無権代理行為を「追認」したことになり、全額支払う義務が発生するからです。

「追認」とは、その字の通り、「追って認める」「追加で認める」ですから、契約した時は無権代理であったとしても、あとから追ってその契約が有効であると認めてしまうことです。

もう一度言いますが、身に覚えがない時は、絶対に1円も支払ってはいけません

表見代理には注意

勝手な代理行為は「無権行為」ですから、無効で、支払う必要がないことは分かりました。

しかし、夫婦のような、普段の日常生活において、代理行為が当たり前に繰り返される関係であった場合、恐ろしいことに、単純に「無権代理」であると言い切れない場合があるのです。

夫婦は、日々の生活において、日常家事債務の連帯責任を負っています。

例えば、日用品の購入や、家賃の支払い、医療費や子どもの教育費の支払いなど、日常の家事に関する債務(出費)については、いちいち代理権を与える契約をしなくても、お互いに代理しあう関係であることがあらかじめ認められています。

夫名義のカーローンの支払を妻名義の口座から引き落とす、というときにいちいち委任状などは必要ありませんよね。

このように、夫婦であれば、最初からお互いに連帯債務関係にあります。

本来であれば、数百万円もの大金の借金は、日常の家事の範囲を超えた大きな出来事ですから、この連帯責任の範囲外と言えます。

しかし、相手がそれを知らなければ、今回の相談者さんのように、数百万円の債務に対する連帯保証契約でも、怪しまれずに契約が通ってしまう可能性があるのです。

このように一見、いかにも代理人であることが本当らしく見える人が契約した場合は、「表見代理」と呼ばれ、それを信用して契約を結んだ相手方の方が優先的に保護されます。

ですから、表見代理が認められると、本人は、代理人が勝手に結んだ契約であっても、保証人として責任を負わなければならなくなってしまうのです。
恐ろしいですね。

表見代理の条件(善意・無過失)

このように、表見代理は夫婦であったら、成立してしまう可能性が高そうです。

表見代理の成立条件は、善意・無過失であることです。

「善意」は相手方が無権代理であることを「知らなかった」ということ、「無過失」は知らなかったことに「落ち度がない」という意味です。

しかし、冷静に考えて、本当に相手方に落ち度はなかったのでしょうか?

今回の相談者さんの場合、妻が勝手に実印を持ち出し、勝手に印鑑証明書を市役所で取っていたわけですが、これは夫婦であれば簡単にできてしまいます。

が、貸付をした銀行の担当者に落ち度ゼロかというと、そうではありません。

銀行の担当者は、相談者の妻が用意した書類だけを鵜呑みにせず、本当に相談者さんが連帯保証人になることを了承しているかを自ら確認する必要がありました。相談者さんへ直接電話を一本入れるだけでよかったのに、それをしていなかったのは銀行側の落ち度(過失)です。

ですから、今回の相談者さんのケースでは、表見代理が成立しているとは言えず、それを主張することで、妻の連帯保証債務からのがれることができます。

無権代理されたら無効を主張しよう

無権代理は支払う必要がないからと言って、無視し続ければいいわけではありません。

また、表見代理も自分から主張しないと形式上は連帯保証債務が有効な状態です。

無視し続けると、返事がないため、請求がエスカレートしたり、最終的には裁判を起こされる可能性があります。

裁判所からの呼び出しを無視すると、反論しない=反対意見がない=認めた、とみなされ、100%相手側の請求が認められて、給料を差し押さえられる可能性まで出てきてしまいます。

身に覚えがない請求に対しては、こちら側から無効を主張するというアクションを起こさなければいけません

筆跡鑑定で違う人の筆跡であると確認が取れたり、代理人として契約書を書いた人(この場合は妻)が自分が無断でやったと証言することで、正式に支払う必要がないことをお互いに確認する必要があります。

裁判を起こされる可能性もありますが、もちろん自分から裁判を起こすことも可能です。

個人で裁判をするのは難しいので、早急に法テラスなど、弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

勝手に連帯保証人にさせられた場合、夫婦や親子であったとしても、あきらめる必要がないことをおわかりいただけたでしょうか。

通常、連帯保証人を抜けるのは、非常に困難ではありますが、このように自分の知らないところで連帯保証人にさせられていた場合は、「無権代理」及び「詐欺」行為として保証契約を取り消せる可能性があります。(記事「保証人は辞められる?」を参照)

また、無権代理に関しては詐欺行為からくるトラブルと言えますので、弁護士が敷居が高いと思う場合は、国民生活センターや日本貸金業協会に相談するのも手です。(記事「借金の公的機関への相談」を参照)裁判をしない「紛争解決手続ADR」という制度を使っての解決を検討することができます。

泣き寝入りをせず、専門家に相談することをおすすめします。

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